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2024.10.31

鎮静剤『プロポフォール』の報道を受けて 『みなさまへ』

■内視鏡検査で使用する鎮静剤『プロポフォール』の正しい理解について

近頃、プロポフォールという鎮静剤について、一部メディアで内視鏡検査での使用を娯楽的に扱うような内容が報道されました。
とても残念なニュースです。

こちらの報道(https://news.yahoo.co.jp/articles/316f559276ede33f1cea198fef5816ec16a79879)
にあるように、明らかに不適切な使用がされた結果として、適切に使用している医療機関および患者様のみなさまに多大なる悪影響が予想されます。

この報道での使用のされ方は本来の医療目的から大きく逸脱したものであり、日本麻酔科学会および日本消化器内視鏡学会も厳重な注意を促しています。

プロポフォールは、本来、消化器内視鏡検査を安全かつ苦痛を最小限にするための使用されるべきです。

鎮静剤のひとつである『プロポフォール』は、医師が適切に使用することで、検査時の不安や不快感を和らげます。
しかし、プロポフォールには呼吸抑制や血圧低下といった副作用のリスクがあるため、専門知識を持った医師による慎重な管理が必要なのです。

こちらの日本消化器内視鏡学会のコメントをご参照ください。(詳しくはこちらから)
こちらをお読みいただくとおわかりいただけるかと思いますが、
『プロポフォール』を使用することが問題ではなく、娯楽目的の使用とも取れる演出がなされた番組が配信されたことに大きな問題があるということです。

日本消化器内視鏡学会のコメントにも下記の一文があります。

日本消化器内視鏡学会のと致しましても、本来は安全かつ効果的な内視鏡診療のために用いられる『プロポフォール』が、このような形で使用されたことに深く憂慮しております。

内視鏡学会としても、安全かつ効果的な内視鏡診療のために非常に期待されている『プロポフォール』が、不適切な使用のされ方によって誤解を招いてしまったことを憂慮しているのです。

ここでお伝えしたいのは、
適切に使用されるならば、『プロポフォール』は多くの患者様に安心して内視鏡検査を受けていただける大変すばらしい薬剤である。
ということです。

内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」にも鎮静剤の使用について、このようにかかれています。

非麻酔科医による使用は、米国麻酔科学会(ASA)の全身状態分類システムにおけるASA-PS 分類Ⅰ(健康)またはⅡ(軽度の全身疾患)の患者さんに限れば、気道確保に十分修練を積んだ医師による使用は可能としています。

しかしながら、プロポフォールによる鎮静が内視鏡室で非麻酔科医によって安全に行えるかどうかは、現時点での日本の医療現場、教育体制および現状の医療制度、医療政策では明言はできない、とも記しています。すなわち、⼈⼯呼吸管理が可能な環境で使⽤されることが求められます。


日本消化器内視鏡学会学会が発行している「消化器内視鏡ハンドブック(改訂第3版)」
においては、
「プロポフォールを使用した鎮静には内視鏡施行医とは別に、麻酔技術に習熟した医師が専任で鎮静管理を行うことが必要」と明記されています。

 

患者様には安心して検査を受けていただけるよう、医療機関ではこうした安全性を確保するため、様々な対策をしております。
当院の特徴、当院におけるプロポフォールを用いた鎮静管理を以下に示します。

①内視鏡医である私が集中治療室専属医(&救急医)としての実績がある
②麻酔科医である医師が在籍している。(現在は主に美容医療を行っています)
③徹底的な血圧・酸素濃度等の安全管理
④いざというときに人工呼吸管理が可能(人工呼吸管理とは必ずしも人工呼吸器の意味ではありません。人工呼吸とは:詳しくはこちら
⑤プロポフォールの使用量を減らすためのハイブリッド鎮静法(少量ドルミカム+プロポフォール)で内視鏡を行っています。

安全確保のための機器のご紹介

上述した③④に関わる機器がこちらです。

<血圧・心電図・酸素飽和度モニター>
こちらの機械で、心電図や血圧、酸素飽和度などをチェックし、常に安全な状態を確認しながら内視鏡検査を行っております。

<酸素ボンベ・吸引器>
酸素濃度が低下した場合に酸素投与を行うためのボンベです。
当院では常に数本のボンベを用意しており、酸素が無くなることはありません。
また、奥にあるのが吸引器ですが、唾液などの分泌物により呼吸状態に影響がでそうなときには迅速に分泌物の吸引を行います。<バックバルブマスク>
活躍の場はあまり無い(あっては困る)ですが、呼吸不十分な状態になったときや呼吸停止など起こるような場合は、こちらのバックバルブマスクで酸素を送り呼吸を補助します。

<点滴>
当院では、鎮静剤を使用するケースでは100%点滴を確保しています。
点滴を確保することで急速輸液や麻酔の拮抗薬をはじめとした薬剤投与が可能です。
(当院で使用するもうひとつの鎮静剤のドルミカムには拮抗薬があります。)

当院では安心して鎮静剤を用いた内視鏡検査を受けていただくことが可能です。
どうぞご安心ください。

 

文責 広崎医院 副院長 広崎拓也

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