❖コラムNo. 17
column
【逆流性食道炎を防ぐ方法】
みなさま、こんにちは!
石川県小松市日吉町にある『 小松おなかとおしりのクリニック広崎医院 』
副院長の広崎拓也です。
今回のコラムでは、”逆流性食道炎を防ぐ方法”についてお話しします。
「逆流性食道炎ってどうして起きるの?」
「どこまで様子を見ていいの?」
「受診が必要なのか、胃カメラなどが必要なのかよくわからないです…」
「予防方法はないの?」
などなど、
”逆流性食道炎”に関して予防方法も含めて解説いたしますので、是非とも最後までお読みください。
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逆流性食道炎とは
逆流性食道炎は、胃液が食道に逆流してしまう病気です。
さて、胃液が逆流するとどうなるでしょうか。
胃液は胃酸を含みます。
胃酸は胃から分泌される食べ物を消化するための強い酸なわけですから、それが逆流したら大変ですね。
当たり前ですが胃の粘膜は胃酸に強いです。
一方、食道の粘膜は胃酸が逆流しない前提になってますから、もともと酸に弱いんです。
そりゃー胃酸が食道に逆流すれば、食道の粘膜が悲鳴をあげますよね。
食道の粘膜が炎症を起こして傷つき悲鳴を上げた状態が、「逆流性食道炎」です。
ちょっと細かい話ですが、これは胃酸だけでなくアルカリ性の胆汁や膵液が逆流しても食道に炎症は起こります。
胃の術後の方におこりえることですが、胃が部分的になかったり全部なかったりするワケなので、胃より肛門側に存在するアルカリ性の胆汁や膵液を含む腸液が逆流すことがあります。これは「術後逆流性食道炎」といいます。
繰り返す逆流性食道炎は、食道胃接合部がんのリスクにもなりますので、自己判断することなく医療機関を受診するようにしましょう。
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逆流性食道炎の症状
それでは、逆流性食道炎の症状ってどんな症状でしょうか。
人によって感じ方や表現は様々ですが、
「胸焼け」
「みぞおちが痛い」
「食べ物が詰まる感じ」
「酸っぱい感じがする」
「喉が苦い感じがする」
など、があります。
こういった症状は辛いですよね。
放置しておくと日常生活に影響を及ぼすこともありますので、お早めに消化器内科を専門とした医療機関にご相談されることをおすすめしますよ。
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逆流性食道炎の原因
それでは、逆流性食道炎はどういった原因で起こってくるのでしょうか。
原因はいろいろありますね。ちょっと列挙してみましょう。
⭕️高脂肪食の摂取
⭕️カフェインの過剰摂取
⭕️喫煙やアルコール過剰
⭕️姿勢・体位などの影響
それでは、一つひとつしっかり確認していきましょうか。
高脂肪食の摂取
「焼肉食べたい。」
「エビフライ食べたい。」
たまに脂っこいもの、、食べたくなりますよね><
でも、
脂を多く含む食事は逆流性食道炎の原因を引き起こす原因になり得ますから、注意が必要です!
どうして脂っこいものを食べると逆流性食道炎になりやすいのでしょうか?
はい、
それでは解説しましょう!
ついつい食べてしまいがちな、から揚げをいっぱい食べてしまったケースを考えてみましょう。
から揚げをいっぱい食べる
↓
から揚げの脂が十二指腸に送られる
↓
(十二指腸や上部小腸からコレシストキニン(CCK)というホルモンが分泌される)
↓
このホルモンの作用により膵液と胆汁の分泌が促され、脂が消化吸収される。
↓
めでたし、めでたし
無事に脂肪が吸収されこれから栄養として体に利用されます!
👏(パチパチパチ)
しかーーーーし、
上部小腸から分泌される、このコレシストキニン(CCK)というホルモン
脂肪の消化吸収を促す一方で、胃の運動を抑制する作用もあるのです。
つまりは胃もたれなどの症状にもつながりますし、逆流する原因にもなります。
さらに、このコレシストキニン(CCK)というホルモンは、「噴門」という食道と胃のつなぎめにある下部食道括約筋というものが緩めてしまうので、
胃酸の逆流が起きやすくなるのです。
そういうと気は、ゲップもでませんか? ゲップも噴門の緩みが原因であることがあります。
もちろん適切な脂肪の摂取量であれば大丈夫です!
脂の摂取量が適量であれば、脂肪の消化吸収ができた時点でコレシストキニン(CCK)の分泌がおさまりますから、胃の運動は再開されます。
まとめると、
脂肪の多い食事をすると、胃の動きが鈍くなることに加えて胃と食道のつなぎめがゆるくなり、その結果として、胃酸が食道に逆流しやすくなる、
とういうことですね。
過剰なカフェイン摂取
カフェインもコレシストキニン(CCK)というホルモンの分泌を促し、「噴門」という食道と胃のつなぎめにある下部食道括約筋というものが緩めてしまうので、胃酸の逆流が起きやすくなります。
またカフェインや柑橘類、香辛料などの刺激物は胃酸の分泌を活性化させるので注意が必要ですね。
それならカフェインレスのコーヒーならカフェインが入ってないからたくさん飲んでも大丈夫!、と思ったあなた、、、
残念です。
カフェインレスでもコーヒー自体に含まれるクロロゲン酸という物質が胃酸分泌を促してしまいますから、
コーヒーはカフェインだろうがカフェインレスだろうが、ほどほどにしましょう!
別のコラムでいつか書こうと思いますが、コーヒーは一日3−4杯ならとても体に良いということが明らかになってきました。
私もいつも、一日3−4杯のコーヒーを飲んでますよ!
喫煙やアルコールの過剰摂取
「タバコって肺に影響があるんじゃないのっ?」
って思われる方が多いのではないかと思いますが、実は「喫煙」は食道にとっては天敵なんです。
喫煙が食道癌がのリスクを高めてしまうことは明白ですし、逆流性食道炎にも関係していることもわかっています。
タバコにはニコチンが含まれてますよね。
ニコチンは、胃と食道のつなぎめのところにもある平滑筋という筋肉をゆるめてしまうので、胃酸が逆流してしまうのです。
あとはアルコールですが、アルコールはなんとなく刺激が強そうな感じがしますね。
アルコールは胃のガストリン分泌細胞を刺激してガストリンを放出させるのですが、それが胃酸の分泌を促し、さらにその結果としてコレシストキニン(CCK)というホルモンの分泌を促しますので、噴門部が緩くなって逆流するわけです。
タバコを吸いながらアルコールの過剰摂取を習慣化してしまうと、ひどい逆流性食道炎を起こしてしまいます。
できれば喫煙を止め、アルコールは適量としましょう。
姿勢・体位・体型などの影響
⭕️食べた直後にソファでゴロン
⭕️食後すぐに激しい運動
⭕️寝る前までお酒とおつまみ
ドキッとされた方、いらっしゃいませんか?
胃酸が逆流しやすい姿勢をとれば、当然ながら逆流性食道炎を起こしやすくなるのですが、いつも逆流を感じるわけではないと思います。
では、どうしていつもは問題ないのでしょうか。
基本的には胃と食道のつなぎめにある下部食道括約筋は、食べ物が通るときだけ緩み、それ以外は閉じています。
この機能により、寝転んだり、激しい運動をしたりしても逆流しないのです。
ただし、食べ過ぎたり、脂っこいものをたくさん摂ったりすれば、前述した理由で胃と食道のつなぎめが緩くなり逆流が起きます。
また、食後すぐは胃の内容物がたくさんあるわけですから、胃の内圧も上がりやすく物理的に逆流しやすくなります。
食後は一旦食事により酸は薄められるのですが、物理的に逆流しやすい状態があるので問題となるのです。
たくさん食べてすぐに運動したり、横になったりすれば逆流します。
食後すぐに上記のような活動をされる場合は、食べ過ぎたり脂っこいものをとらないような工夫が必要です。
当然、就寝前まで酒を飲みつつ、おつまみをダラダラと食べてゴロンと寝てしまうのは最悪な行為になります。
また、加齢に伴い下部食道括約筋が緩むことも原因となりますので、症状が続く場合などは内視鏡で一度確認しておくことも必要かもしれません。
腹圧が上がるようなことも逆流につながります。例えば肥満の方。お腹の脂肪で胃にも圧がかかってきます。
妊婦さんも同じことが言えます。
太っている方は体重を減らすことも重要です。
おまけ:食後すぐに寝たい場合は左側を下にして寝てみましょう。物理的な理由で逆流しにくくなりますよ!!
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逆流性食道炎の予防
逆流性食道炎の予防には、食事内容を見直すことが効果的ですね。
特に、脂っこい食べ物や辛い食べ物、チョコレート、トマト製品、柑橘類の果物は胃酸の分泌を促す食べ物であると言われています。
これらの食べ物をたくさん食べている自覚がある場合は、それを控えてみましょう。
また、食事内容の改善だけではなく、食生活の改善も重要です!
一度に食べ過ぎない。
小分けにして数回に分けて食べる、
食後はすぐに横にならない、
体重を健康的な範囲で保つ、
ストレス管理を行う、
これらに注意することで胃酸の過剰分泌や胃酸の逆流を防ぐことができるでしょう。
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逆流性食道炎の診断方法
症状と診察により逆流性食道炎の可能性が高いと判断することはできますが、
診察のみでは確定はできません。
また、食道の炎症具合や逆流性食道炎の理由を正確に知るためには胃カメラ検査を行った方が良い場合も多くありますので、
症状の気になる方は、消化器内科や内視鏡を専門としている医療機関に相談しましょう。
(胃がんを発症してしまい胃の動きが鈍くなり、あるいは胃が狭窄しているために、食事が流れない。その結果として逆流性食道炎を起こしているケースもあります。)
胃カメラ検査とは
胃カメラ検査とは、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査をいいます。柔軟性のある電子スコープを用いて観察することで痛みを少なく診断することが可能です。また、内視鏡の最新機器を用いて、患者様の状態を適切に観察することができます。さらに、疑わしい部位は、組織を採取して確定診断を行うことも可能です。
当院の胃カメラ検査は、鼻から検査する経鼻内視鏡検査と口から検査をする経口内視鏡検査を選択することが可能です。また、眠った状態で受けていただける鎮静剤を用いた胃カメラ検査を実施しています。
胃カメラ検査で分かる病気
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- 胃がん
- 胃ポリープ
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 食道がん
- 食道裂孔ヘルニア
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア
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胃カメラ検査によって、胃・食道の状態を正確に判断することが上記の病気の予防に繋がります。ご不明な点がございましたら当院までお問い合わせください
胃カメラ検査の特徴
①最新内視鏡システムを用いた胃カメラ検査
②「オエっ」となりにくい、鼻から受ける胃カメラ検査
③口から受けることができる経口内視鏡検査
④眠った状態で受けていただける胃カメラ検査
➄お腹の張りを抑えたCO2送気(二酸化炭素ガス)送気
⑥胃カメラ検査・大腸カメラ検査の同日実施
【詳しくはこちら】
【まとめ】
- まとめ
今回のコラムでは、”逆流性食道炎を防ぐ方法”についてお話いたしました。
当院では、引き続き皆さまにとって有益な情報を発信できたらと思います!
最後までお読みいただき誠にありがとうございました!
次回のコラムもお楽しみに・・・^^
✔この記事を書いたひと
✔広崎拓也 小松おなかとおしりのクリニック広崎医院 副院長
日本内科学会 認定内科医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医