❖コラムNo. 10
column
【 便秘を解消するには 】
みなさま、こんにちは!
石川県小松市日吉町にある『 小松おなかとおしりのクリニック広崎医院 』
副院長の広崎拓也です。
今回のコラムでは、”便秘を解消するには”についてお話させていただきます。
こんな方はいませんか?
・便秘で困っている(><)
・市販の便秘薬や健康茶で前はよく出ていたのに、以前より出にくい(><)
・食事療法を色々試してみたけどよくならない(><)
そんなあなたに、 “便秘を解消する方法” をお伝えします!
便秘の改善・予防
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食物繊維は便の材料である
便秘を改善するためには、まずはなんといっても食事です!
「そんなの知ってるよ、野菜食べればいいんでしょ」って言いたくなると思いますが、それだけではないんですよ。
それだけでない理由を順に解説していきますね。
便の材料の80%は水分でできていて、他は食物繊維と、腸内細菌、剥がれ落ちた腸の粘膜で構成されているんです。
ご存じのとおり、この食物繊維が材料として重要なわけなんですよね。
食物繊維で便にボリュームが出ることによって、腸が刺激され、蠕動運動という動きによって、便がだんだんと肛門へ送られます。
このボリュームがないといけないので、十分量の食物繊維を摂らないといけません。
十分な食物繊維を確保する方法
それでは一体どういった食物繊維を摂ればいいのでしょうか。
ほぼ生野菜だけを食べている方は、意識的にしっかり食べないと、食物繊維を十分摂れていません。
しかし、茹でたり火を通したりした野菜もそれなりに食べていれば、十分な食物繊維の確保が可能です。
なぜだかわかりますか?
ほうれん草を思い浮かべてください。あんなに大きなほうれん草が、茹でると一気に縮みますよね。
同じ野菜でも、『生の野菜』と『生でない野菜(茹でたり炒めたり)』では同じ一口で採れる食物繊維の量にかなりの差があるんです。
野菜は『生の野菜』だけではなく、『生でない野菜(茹でたり炒めたり)』(お浸し、煮物、炒め物、味噌汁の具材などなど)を摂ることが非常に重要です。
お米が大事?
あと盲点なのが、お米やパンなどの穀物繊維です。
詳細は省きますが、お米の方が何かと優れているのでお米について話します。
「野菜は食べるけど米は糖質だから食べないようにしている。」そんな方はいませんか?
確かにお米は炭水化物ですから糖質です。
糖質だと太りやすいと言われるので、お気持ちはよくわかります。
ただしですね、、、、炭水化物というのは、糖質+食物繊維なんです!
★炭水化物=糖質+食物繊維
この方程式を覚えておいてください。
糖質を控えた代償として、圧倒的に穀物繊維の量が減ってしまっているんですね。
日本人は、以前は穀物繊維から必要な食物繊維の40%くらいを摂っていました。
お米を極端に減らす方が多く、それにより摂取すべき食物繊維の量が減ってしまっている方がたくさんおられます。
当院にも過度な糖質制限ダイエットで便秘になっている方は多くいらっしゃいますよ。
食べ過ぎはいけませんが、適度にお米を食べましょう!
白米はどうしても血糖値が上がりやすいというのは事実ですから、できれば雑穀米などを混ぜたり、もち麦を混ぜたりすると良いですね。
ここでの少しだけまとめておきますね。
●野菜は『生の野菜』だけではなく、『生でない野菜(茹でたり炒めたり)』も食べましょう!
●食物繊維は野菜からだけでなく、お米からも摂りましょう!
食物繊維には種類がある?
さらには、食物繊維の種類も大事ですよね。
食物繊維には『不溶性食物繊維』と『水溶性食物繊維』というものがあるのをご存知でしょうか。
- どちらも大事なものですが、腸内環境を整えてよいお通じにするには、この『水溶性食物繊維』がとても大切なんですよ。
水溶性食物繊維
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水溶性食物繊維は、水に溶ける性質を持ち、消化の過程でゲル状の物質を形成します。
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つまり、便に水分を含んで適切な柔らかさに保ってくれる役割をしてくれるんです。
さらにですね、この水溶性食物繊維っていうのは、乳酸菌とかビフィズス菌などの善玉菌の大好物なんですよ。
水溶性食物繊維を摂れば、善玉菌が増えて、大活躍してくれるってことが期待できるわけなんです。便通に良いのは言うまでもありません。
まだまだ水溶性食物繊維を摂るメリットはありますよ。
水溶性食物繊維はゲル状になるのでドロッとしてますよね。
それによって食物の通過速度が遅くなり、コレステロールや糖分の吸収が緩やかになるのです。それではどういったものに水溶性食物繊維が多いのでしょうか。
ざっくり言うと、水につけた時に「ネバネバ」「ヌルヌル」したものです。
例えば、海藻類を考えてみてください。
ワカメ、めかぶ、海苔、もずく、などなど。みんなヌルってしますよね。
根菜類も多いですよ。煮物にされる具材なんかが多いですよね。
大根、にんじん、じゃがいも、さつまいも、ごぼう、蓮根などなど。
あとは山芋、長芋、里芋なんかはヌルヌルっですよね。水溶性食物繊維たっぷりですよ。
そのほかにも、オクラとかヌルヌルしますよね。
あとは果物に多いです。
アボカドって果物に分類されるようですけど、アボカドもいいですよね。
バナナ・キウイなんかも水に漬けるとヌルってなりますよね。
主食では大麦とかもち麦なんかが良いですよ。
白米だけではなく、そこに雑穀米入れてさらにもち麦を入れるととても良いです。(2回も言ってしまいましたね><)
そして何と言っても、お米に合わせるものといえばお味噌汁ですよね。
お味噌汁やお吸い物に入れる具材にはあまり意識しなくとも水溶性食物繊維がたくさん入っているのでいいですよ。
例えばわかめや海苔等の海藻類、なめこ、根菜類なんかもよく使いますよね。
なめこ表面の滑りはペクチンと呼ばれる水溶性食物繊維によるものなんですよ。
これらの水溶性食物繊維は、便通に良いだけでなく、血糖値の急な上昇やコレステロールの吸収を防ぐはたらきをするので肥満予防の効果が期待できます。
『一石五鳥』って言ってもいいくらいですね。
是非ともヌルヌルしたものをしっかりとってください!
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不溶性食物繊維
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不溶性食物繊維の働き 一方、不溶性食物繊維は水に溶けない性質を持ち、便のかさを増やす働きがあります。これにより、腸の蠕動運動が促進され、便通が改善されることが期待できます。
- 不溶性食物繊維は小麦、玄米、キャベツなどの葉物野菜、ごぼうやふき(蕗)など、イメージとしては硬いものに多いです。
- ただし、ごぼうなんかは水につけるとヌルッとしますよね。
これは不溶性も多い一方で水溶性も多いわけです。
玄米なんかは白米に比べて栄養素がとても高いのですが、どうしても不溶性が多いので、お腹の調子が悪い時には負担になったり、便を硬くしてしまいがちではあります。
私は個人的には玄米を少しだけ精米した分づき米をおすすめしています。
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バランスの良い摂取が重要 水溶性と不溶性の両方の食物繊維をバランスよく摂取することが、健康な腸内環境を維持し、便通の改善、コレステロール低下、血糖値の管理などの効果を得るためにとても重要ですよ。
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食物繊維豊富な食材を積極的に取り入れ、健康的な腸内環境を維持するために、バラエティ豊かな食事を心がけましょう。
ちょっとしつこいですか、ここでも少しまとめてみましょう!
●野菜は『生でない野菜(茹でたり炒めたり)』も食べる。
●食物繊維はお米からも摂る。
●ヌメヌメ、ネバネバの水溶性食物繊維を意識する。
●お味噌汁などにたくさん野菜を入れて、お米と共にいただく。
こんなところでしょうか(^ ^)
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運動療法
運動も大事ですよ!
運動不足は便秘の原因といわれています。
ウォーキング、ジョギング、ヨガなどの適度な運動や腹筋を鍛えることも便秘の改善に繋がります。
なぜ、筋力が大事か
なぜ、腹筋が大事かわかりますか?
便を押し出すときに、軽くいきみますよね。このいきみっているのは、腹筋と腸腰筋とか、横隔膜を使ってぐっと腹圧をあげているんですよ。
あんまりいきみすぎしまうと痔になったり問題もいろいろあるのでね。軽いいきみでスッと出るのが理想ですけどね。
筋肉量が少ないってことは、消化管の筋肉量も少ない傾向にあるのがあまり知られてないこととしてありますよ。
そもそもご存知ないかもしれないですけど、胃とか腸とかって、平滑筋っていう筋肉で構成されているんですよ。
食べ物を胃に入れて、だんだんと肛門へ送っていくんですけど、それはこの食道や、胃、小腸、大腸の平滑筋を動かして送っていくんですね。この動きを蠕動運動って言うんですけど、この蠕動運動も筋肉量が少ないとその動きも弱まってしまって、それが便秘傾向につながっていく可能性はあるわけなんですね。
腸の動きを良くするためにも運動習慣を整えていきましょう。
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薬物療法
そうは言ってもなかなか食事運動療法では解決しにくい、ってことは現実的にありますよね。
そんな時は、便秘に詳しい医療機関に言って相談をしましょう!
便の排泄を促すお薬を服用することで、便秘の改善が見込まれます。
一人で抱え込まずに、プロに相談しましょう。
一度クスリで整えてからゆっくり食事運動療法も取り入れて改善していくということも状況によっては大切ですよ。
でも、「それなら市販薬でなんとかならないの?」という声が聞こえてきそうです。
市販薬は上手に使えば有効なんですが、残念ながらうまく使えていない方がほとんどです。
市販薬を頻繁に摂取することは、薬物依存の体質になる可能性もあります。
語弊があるかもしれませんが、正直『泥沼』にハマってしまっているケースもよく見かけます。
(私なら、その『沼』から必ず抜け出してもらう自信があります。)
全ての人が、便秘に対して正しい知識があるわけではないと思いますので、
医師の判断の元で適切なお薬を適量服用することが、大切だと思います。
【薬物についての詳細はこちら】(ただいま作成中)
便秘外来
便秘の検査
軽い症状の便秘もあれば、何か他の病気が併発している便秘の場合もあります。便秘になったときはただの便秘と思わず、身体のその他の変化にも注意することが大切です。
便秘の原因を診断するためには、大腸カメラ検査を行うことが重要です。大腸カメラ検査を行うことで大腸がんの有無を確認することができ、器質性便秘の原因を特定することができます。また、具体的な病気が何かわかれば治療方針を立てることもできます。特に便秘症状に併せて血便、嘔吐、腹部膨満感、体重減少、腹痛などの症状が伴う場合は緊急性が高いです。
【便秘の原因と種類】
大腸カメラ検査とは
大腸カメラとは、大腸の粘膜を柔軟性のある電子スコープを用いて直接観察する検査です。モニターテレビに映像を映し出し、疑わしいが部位があった際には、組織を採取して確定診断を行います。現在では、水侵法や、CO2送気、鎮静剤を用いた検査など、患者様の苦痛を軽減させる方法が確立されているため、大腸カメラ検査が苦手な方でも安心して検査を受けていただくことができます。
大腸カメラ検査の特徴
①最新内視鏡システムを用いた大腸カメラ検査
②眠った状態で受けていただける大腸カメラ検査
③お腹の張りを抑えたCO2送気(二酸化炭素ガス)送気
④胃カメラ検査・大腸カメラ検査の同日実施
➄三次元内視鏡ナビゲーションシステム
⑥『水侵法』による苦痛を抑えた大腸内視鏡検査
➆日帰りポリープ切除
【詳しくはこちら】
最後に
今回のコラムでは、”便秘を解消する方法”についてお話いたしました。
わたしは、つねに『便秘でお困りの人をなんとか救いたい』と思っています。
『これが私の使命』とさえ思っています。
数回の通院だけでは解決が難しいことも多いです。
気長に通院していただければ、必ず「通院していてよかった」と思える日が来るでしょう。
人によっては一年以上かかることもありますが、『泥沼(言い方が適切ではないかもしれませんが)』
から必ず抜け出すことができます。
お困りの方は是非ともご相談ください。
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回のコラムもお楽しみに・・・^^
✔この記事を書いたひと
✔広崎拓也 小松おなかとおしりのクリニック広崎医院 副院長
日本内科学会 認定内科医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医